スポーツを楽しむ小学生や中高生アスリートにとって、食事は最高のパフォーマンスを発揮するために切っても切り離せない。夏に募集した食事や栄養摂取に関する疑問や質問について、サッカーのアルビレックス新潟で栄養アドバイザーを務めていた公認スポーツ栄養士の長谷川直子さんに回答してもらった。また、長谷川さんの監修で、管理栄養士の資格を持つ運動部記者(24)が質問に応じた具体的な食事メニューなどを紹介する。(4回続きの1回目)
◆食事でしっかり取る方法は?
新発田市の中学1年女子からの質問です。週6回以上の練習をこなすテニス選手です。
※プロテインは日本語で「タンパク質」を指す言葉です。この記事ではサプリメントの錠剤や飲料用にパウダー状にしたものなど食事以外で接種するものを「プロテイン」と表現しています。
長谷川さん 基本的には、お母さんがおっしゃっている通り。1日に必要なタンパク質量が分かる計算式があります=下の図参照=。例えば体重50キロで、持久力トレーニングを行う選手だと、1日に必要なのは60〜70グラム。穀類にもタンパク質は含まれているので、プロテインを取るほどの量ではないかなと思います。
▽方程式はコレ!「下図のグラム数」×「体重」=1日に必要なタンパク質

-タンパク質を取り過ぎることの影響は。
一度に吸収できる量は限られていて、取り過ぎた分は脂肪になったり、尿で排出されたりします。たくさん処理すると、肝臓、腎臓に負担がかかることもあります。
▽炭水化物と一緒に
-いつ取ると効果的ですか。
練習が終わったらできるだけ早く、炭水化物とタンパク質を取ってください。炭水化物も一緒にとることで、運動で使ったエネルギーの補給、タンパク質の筋肉への取り込みが良くなります。炭水化物で得る糖質がないと筋肉からのエネルギーを補給に使ってしまうので、せっかくついた筋肉をやせさせてしまいます。
-身長にプロテインは影響しますか。
関係ないです。飲んだら身長が止まることもないです。
◆[わたしの推しメニュー]運動部記者
豚のしょうが焼き、タラのホイル焼き…
まず、日常の食事のタンパク質量を把握してみよう!

自分がどれだけタンパク質を取っているか。中高生で分かっている人は少ないかもしれない。中学1年女子のアスリートをモデルとして、1日に必要なタンパク質の量を満たすメニューはどんなものになるだろう。
体重は45キロで、週6回以上、持久系のトレーニングを行っているとすると、体重1キロ当たり、1・2〜1・4グラムが必要となる=上の図を参照=。つまり、1日に54〜63グラムのタンパク質を取りたい。
朝食で、定番のご飯、みそ汁、目玉焼き、もしくは納豆を食べると、約17グラムのタンパク質を摂取できる。昼は給食。文部科学省が定めた「児童又は生徒1人1回当たりの学校給食摂取基準」では、12〜14歳の1食当たりのタンパク質は28グラムと定められており、朝昼で合計約45グラム。もう約7割は取れている。
では夜は何を食べればいいか。ご飯、みそ汁、ほうれん草のおひたし、りんごを基本の献立として、組み合わせる主菜を考えてみた=下の図参照=。
例えば、豚のしょうが焼きなら、基本の献立と組み合わせると12g+21・9gで、タンパク質の合計は一食で33・9gとなる
豚のしょうが焼き、鶏肉と野菜の甘酢あん、タラのホイル焼きにはそれぞれ21・9グラム、24・4グラム、19・1グラムのタンパク質が含まれる。基本の献立にも12グラム含まれているため、どれを組み合わせても、1食当たりのタンパク質は30グラムを超える。1日に必要な量は、プロテインに頼らずとも、普段の食事で取ることができる。
近年、「アスリートはプロテインを飲むもの」というイメージが浸透しているが、プロ選手で飲んでいない人もいる。中高生の皆さんは、自分に必要な量と、普段の食事でどれだけ取っているかを把握するところから始めてみてはどうだろう。
<長谷川さんからひと言>普段つくるようなメニューで分かりやすいですね。補食も取るなら十分な量になりますね。
長谷川直子さん
◎長谷川直子(はせがわ・なおこ)東京都出身。管理栄養士、公認スポーツ栄養士。2009年から13年間、アルビレックス新潟の栄養アドバイザーを担当。現在は国際調理製菓専門学校で非常勤講師や、講演活動なども行っている。講演などの問い合わせは、naoko-sep29@nifty.com











