政府が「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録に向けた国内推薦を留保している問題で、新潟県の花角英世知事は19日の定例記者会見で「棚上げや先送りはせず、早く答えを出してほしい」と訴え、早期の推薦決定を改めて求めた。政府が行っている「総合的な検討」について「何を検討しているのか、はっきり説明してほしい」と述べた。

 政府は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦書提出期限が2月1日に迫る中、推薦を決めないという異例の対応を取っている。岸田文雄首相は18日、「登録を実現するためには何が最も効果的なのかという観点から総合的な検討を行っている」と説明した。

 花角知事は首相の発言を踏まえ、「どういう道筋なら円滑に(推薦まで)たどり着けるのかという考え方の中身を教えてもらいたい」と述べた。

 政府が推薦に慎重な背景には、佐渡金山で戦時中に朝鮮人労働者が働いていたとして韓国政府が推薦に反発していることがあるとみられる。

 知事は、佐渡金山の価値は主に江戸時代の金生産システムだと強調。「(戦時中の問題は)世界遺産の話とは違う議論ということを関係者に理解してほしい」と求めた。

 韓国との問題については「コメントをする立場にない」としながらも、韓国側に対して「言うべきことは言っていくべきだ。相互の対話が必要だ」との認識を示した。