国の文化審議会が世界文化遺産の国内推薦候補に「佐渡島(さど)の金山」(佐渡市)を選んだものの、国として正式に推薦を決めていないことについて、花角英世知事は4日の年頭記者会見で「通例であればそのまま推薦する。何を考慮しているのか、国が明らかにする必要がある」と不快感を示した。

 金山は昨年末に国内推薦候補となったが、国の資料には「今後、政府内で総合的な検討を行っていく」などとする異例の文言が記され、正式な推薦が保留される事態となっている。

 佐渡金山を巡っては、戦時中に朝鮮半島出身者が働いていたため、韓国側が推薦に反発している。これを受け、政府内に慎重論があるとみられる。

 花角知事はこれまで、県と佐渡市が提出した推薦書原案に記されている佐渡金山の価値は主に江戸時代の金生産システムだとして、戦時中の問題で反発を受けることに違和感を示していた。この日も外交問題にはならないとの見解を重ねて示し、「速やかに推薦してほしい。佐渡市や国会議員の議連などと相談し、国に効果的に働き掛けたい」と強調した。