佐渡島の金山を象徴する道遊の割戸
佐渡島の金山を象徴する道遊の割戸
安倍晋三元首相に要望書を手渡す渡辺竜五佐渡市長(左から2人目)と稲荷善之県教育長=18日、東京・永田町

 政府が「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録に向けた国内推薦を留保していることについて、岸田文雄首相は18日、報道陣に対し、「登録を実現するためには何が最も効果的なのかという観点から総合的な検討を行っているのが現状だ」と述べた。推薦するかは明言しなかった。

 県や佐渡市が早期の推薦を求めていることについては「さまざまな動きがあることは承知している」とした上で「登録を実現することが何よりも大事だ」と強調した。

 林芳正外相も同日の閣議後の記者会見で、政府が行っている「総合的な検討」の中身を問われ、首相と同様の発言をした。検討の具体的な進行状況については明言しなかった。

 韓国が推薦に反発していることについては「旧朝鮮半島出身労働者問題に関する、日本の一貫した立場に基づいて申し入れを行った」と説明。同問題は1965年の日韓請求権協定に基づき解決済みだという政府見解を伝えたとみられる。

 一方、末松信介文部科学相は閣議後の記者会見で、推薦の判断時期を問われると、ユネスコへの推薦書の提出期限である「2月1日が一つのライン」と答えた。しかし、検討の具体的な内容については「関係省庁と真剣な検討と議論がなされている」と述べるにとどめた。

◆早期推薦へ支援を
佐渡市長、県教育長ら要望活動

 佐渡市の渡辺竜五市長と稲荷善之県教育長は18日、東京都内で自民党政務調査会や議員連盟の会合に出席し、「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録に向けた支援を求めた。要望を受けた議員連盟「保守団結の会」(代表世話人・高鳥修一衆院議員=比例北陸信越=)は政府に推薦を求める決議をまとめた。

 県と佐渡市が目指す2023年の世界遺産登録に向け、国の文化審議会は昨年末に佐渡金山を国内推薦候補に選んだ。しかし、文化庁は「推薦の決定ではなく、政府内で総合的な検討を行う」との異例の見解を示し、政府が期限の2月1日までに国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦するか見通せない状況となっている。

 渡辺市長と稲荷県教育長は自民党本部で開かれた政務調査会会合に出席し、世界遺産への熱意を伝えた。

 会合は非公開で、出席者からは早期推薦を求める意見が出た。一方、ユネスコの世界遺産委員会で登録に反対された場合に備えて、他国への説明の準備状況を問う指摘もあったという。

 保守団結の会の会合では、同会の安倍晋三元首相に要望書を手渡し、「世界遺産登録は県民の悲願だ」などと訴えた。同会は決議で、政府に対し「総合的な検討」の過程を国民に明らかにすることも求めた。

 渡辺市長らはほかに、国会内で自民党国会議員の事務所を訪ね、県市長会や佐渡市議会、市内の民間団体などから提出された要望書を提出して回った。自民県連の小野峯生幹事長ら幹部も同行し、県連としても早期の推薦を求めた。

 渡辺市長は自民の政務調査会会合に参加した後、報道陣に「政府は佐渡の文化をしっかり発信していただきたい」と語った。