新潟県と佐渡市が世界文化遺産登録を目指す「佐渡島(さど)の金山」を巡り、花角英世知事と渡辺竜五佐渡市長らは7日、東京都内で末松信介文部科学相と面会し、国の文化審議会の答申に沿って、政府として国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦するよう求めた。末松氏は「総合的に検討する」と従来の見解を述べるにとどめ、検討内容について説明を避けた。
佐渡島の金山を巡っては、昨年末に文化審が世界遺産登録の前提となる国内推薦候補に選定した。しかし、文化庁は「文化審の選定は推薦の決定ではなく、政府内で総合的な検討を行う」と異例の文言を発表し、政府が期限の2月1日までに推薦するかは見通せない状況になっている。
この日の面会は冒頭を除いて非公開だった。知事によると、政府の「総合的な検討」の内容について説明を求めたが、具体的な回答は得られなかったという。
この異例の文言の背景には、佐渡金山で戦時中に朝鮮半島出身者が働いていたことから、韓国政府の反発を招くことへの懸念があるとみられる。面会ではこの問題も話し合われなかったという。
終了後、花角知事は報道陣の取材に対し、「通例通り、速やかに意思決定してほしい」と訴えた。
知事らはこの日、自民党の高市早苗政調会長らとも面会し、協力を求めた。
関係者によると、佐渡島の金山の推薦にはユネスコとの連絡調整を担う外務省で慎重論が根強い。林芳正外相は7日の閣議後会見で「政府としてどうしていくかは検討中だ」と述べた。