「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)が世界文化遺産登録を目指す上で、過ぎては通れない先例がある。長崎市の端島(はしま)(通称・軍艦島)をはじめとした「明治日本の産業革命遺産」だ。登録を目指す動きが起こったのは、佐渡と近いほぼ四半世紀前。韓国から「朝鮮半島出身者が強制労働させられた場」との批判を受け、国内推薦の過程では当時の首相・安倍晋三らが政治力で局面を動かすなど似通った経緯をたどる。長期企画「輝ける島へ」の今シリーズでは、佐渡と絡み合う「明治日本」の現地を訪ね、世界遺産登録までの道のりや当事者の思い、佐渡の針路へのヒントを探る。

1月下旬の午前7時ごろ。夜明けとともに水平線に現れたシル...
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