JR長崎駅から約2キロ、グラバー通りの坂を上ると荘厳な教会が目に飛び込んでくる。世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を代表する、大浦天主堂だ。この遺産が登録されたのは2018年。本来なら、国内推薦はその5年前にされるはずだった。

 地元では02年に学者や建築家らが民間組織を立ち上げ、世界遺産登録へ活動を進めていた。県も博物館や美術館を整備し、機運を盛り上げてきた。

 文化庁の公募に手を挙げ、07年に暫定リスト入りすると、13年8月には文化審議会が国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦候補として答申。いよいよというところまで来ていた。

「潜伏キリシタン関連遺産」の象徴ともいえる大浦天主堂。「明治日本の産業革命遺産」と登録を巡って競合し、長崎は複雑な立ち位置にいた=1月、長崎市

 しかし-。「明治日本の産業革命遺産」が同時...

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