眼前に雄大な桜島を望む鹿児島市のほぼ中央、薩摩藩主島津家の別邸「仙巌(せんがん)園」。その一角に鉄製大砲を鋳造した「反射炉」の跡がある。2015年に世界文化遺産となった「明治日本の産業革命遺産」の一つであり、世界遺産登録に向けたうねりの原点でもある。

 園を管理する島津興業は1994年から反射炉などの発掘調査を進めてきた。炉を含む工場群「旧集成館」の顕彰事業に協力を求めた相手が、加藤康子(こうこ)...

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