「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)の構成資産は地下の坑道にとどまらない。露頭掘り跡や水路、木造建築など多様だ。自然の中にある遺構は特に風化が避けられない。佐渡金山のシンボル「道遊の割戸」も、どう保存していくかが大きな課題となっている。
1600年代に手作業で金を採掘し、山が二つに割れた割戸。史跡佐渡金山の見学コースからは見えない裏側に回ると、むき出しの採掘跡が分かるが、山肌の土砂が道路側へ大きく崩れ落ちている。浸透した雨水が冬場の寒暖差で凍って、膨張することで少しずつひびが入り、土砂崩れにつながっている。

樹脂を吹き付けて固定する、網をかけるなどの方法も検討はされたが、実施には至ってい...
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