(左)「お食事処 大吉 大学前店」のラーメン500円、(右)「ラーメン内山」のみそらーめん500円

 もう15年、いや20年以上前になるだろうか。安くて、おいしくて、身(胃袋)も心も幸福になれる、三拍子そろったラーメンがお気に入りだった。値段とメニュー名を掛け合わせたユニークなネーミング。たしか、幸せラーメン(480円)だったと記憶している。残念ながら店主の高齢化により閉店してしまったが、かつてはそんなふうに、大手チェーン店や昔ながらの食堂などで、ラーメンが500円以下で味わえたものだ。

 現在では、高級食材をあえて使用したり、物価や光熱費、人件費高騰のあおりを受けたりして、庶民の味方だったラーメンの値段も、1杯1000円に迫りつつある。ラーメンは気軽に食べられる食事からごちそうへと昇華している。

 片や、ラーメン店の倒産が急増し、年間倒産件数が過去最多になったというニュースもあった。

 そんな中で、さまざまな企業努力により、ラーメンをいまだにワンコイン以下という良心的な価格で提供している店が新潟県にもある。食べ歩いてみると思いのほか、その数は多かったが、50円、100円と、ここ数年でいよいよ値段を上げざるを得ない状況に陥っていることも分かった。

 長年にわたって低価格で味を守り続け、客に愛されてきた店がある。「ラーメン内山」(新潟市中央区)、「お食事処(どころ) 大吉 大学前店」(新潟市西区)の2店を訪ね、店主の思いを取材した。...

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