「麺屋あごすけ」が提供する酒かすラーメンと使用する酒かす=上越市下門前(写真は上越支社・大須賀悠)

 新潟県上越市の冬の名物と言えば? 市内で暮らす記者の答えは迷わず「上越酒かすラーメン」だ。銘酒が多い上越地域。酒を味わうだけではもったいない。雪深い上越で冷えた体を温めるには、熱かんだけではなく、酒かすラーメンが外せない。

 酒かすはスープに溶かしたり、「味変」のトッピングに用いたりする。食べ進めると体がぽかぽかしてくるし、健康にも良さそうな感じがする。独特の甘みが加わり、深みも出る。使う酒かすは上越地域の酒蔵のもの。味良し、体に良しのラーメンだ。

 酒かすラーメンは、酒造りが本格化する12月ごろ、上越市のラーメン店・中華料理店が一斉に提供を始める(一部は通年販売)。春ごろまでの期間限定商品で、今シーズンは16店舗が自慢のラーメンを出している。定番のみそ風味からカルボナーラ風の変わり種まで多種多様なラインアップを楽しめる。

 提供している店舗は「上越愛麺会」という有志の会。会長で、先日テレビ番組で「全国一」のラーメン店に選ばれた有名店「麺屋あごすけ」(上越市下門前)を営む月岡二幸(かずゆき)さん(54)も「上越は冬のイベントが少ない。地元の人に食べ歩きしてもらうことで、盛り上がってほしい」と思いを語る。

月岡二幸さん

 ラーメン店が連携し、2019年に始まった酒かすラーメンの取り組み。新潟県内五大ラーメン新潟5大ラーメンとも呼ばれる。新潟あっさり醤油、新潟濃厚味噌、燕三条系背脂、長岡しょうが醤油、三条カレーラーメンなどとされる。に匹敵するご当地グルメ化を目指し、今回で6シーズン目を数える。2023年には、コンビニ大手セブン-イレブン・ジャパン(東京)が愛麺会と協力して「上越愛麺会公認 味噌(みそ)ラーメン」を開発し、県内と北陸3県で販売するなど、知名度も徐々に上がりつつある。

 ただ、提供する店主らは「まだまだこれから」とさらなる高みを目指す。職人たちの熱い思いがこもった一杯を紹介する。...

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