棋王戦の前夜祭に臨んだ藤井聡太棋王(右)と伊藤匠七段=3月2日、新潟市中央区
棋王戦の前夜祭に臨んだ藤井聡太棋王(右)と伊藤匠七段=3月2日、新潟市中央区

 将棋の第49期棋王戦コナミグループ杯(新潟日報社など主催、協賛社・大塚製薬)5番勝負の第3局が3月3日、新潟市中央区の新潟グランドホテルで指される。藤井聡太棋王(八冠)に、初のタイトルを狙う伊藤匠七段が挑む。2人による注目の「同学年対決」や、新鋭たちを歴戦のプロはどう見ているのか。立会人で、棋界最高峰の「竜王戦」を3連覇した実績がある藤井猛九段に対局の見どころや、令和の棋士像について尋ねた。(4回続きの2)

 藤井聡太棋王と伊藤匠七段は21歳同士。最近のタイトル戦は藤井棋王と30代の棋士の対局が多かった。「若いと言ってもめちゃくちゃ若い。歴代のタイトル戦でも一番くらいではないか」と舌を巻く藤井猛九段。2人は同学年。子どもの頃から将棋を指してきた関係だが、タイトル戦で相まみえ、特別に意識することはあるのだろうか。

棋王戦第3局の前夜祭でマイクを握る藤井猛九段=3月2日、新潟市中央区

 藤井猛九段も羽生善治九段や森内俊之九段らと同学年だ。「羽生世代」と言われる。大舞台で何度もしのぎを削ってきた。「羽生さんとのタイトル戦も僕の場合は全然意識しなかった。キャリアが違いますから」と明かす。中学生で棋士になった羽生九段は、藤井九段がデビューした時には既にタイトル戦で活躍するほどの棋士だった。

 藤井棋王も中学生デビュー棋士だ。藤井九段の場合と同様、伊藤七段が四段に昇段した2020年には既にプロの第一線で活躍していた。藤井九段は「伊藤七段も私と同じで偉大な大先輩と戦っていると思っているのではないでしょうか」と推測している。