東京電力の小早川智明社長
東京電力の小早川智明社長

 新潟県の東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。テロ対策上の不備柏崎刈羽原発では、2021年2月時点で、侵入検知設備が計16カ所で故障し、うち10カ所は代替措置が不十分なため無断立ち入りができる状態だったことが判明した。原子力規制委員会は安全重要度を最悪レベルの「赤」と評価し、21年4月に柏崎刈羽原発での核燃料の移動を禁じる事実上の運転禁止命令を出した。20年9月には、運転員が同僚のIDカードで中央制御室に入る問題なども起きている。が相次いだ問題で、東電の小早川智明社長が2021年の問題発覚後、核物質防護国際的なテロリズムなどを背景とした核物質の盗取など不法な移転や妨害破壊行為などに対する防護。原子炉等規制法で、原子力事業者は守らなければならない核物質防護の規定を事業所ごとなどに定め、原子力規制委員会に申請書を提出し、認可を受けることになっている。に関する秘密情報を取り扱う資格を取得した。資格取得前は経営層であっても知り得る情報が制限され、担当部門から不備事案に関する詳細な報告を受けられない状態だった。東電は規定などを見直し、現在は核物質防護に関する意思決定過程でも社長らの関与を強化するなど体制を改めた。

 柏崎刈羽原発では...

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