
世界文化遺産1975年に発効した世界遺産条約に基づき、歴史的建造物や遺跡を対象にユネスコが人類共通の財産として登録する。国内では姫路城などが登録されている。世界遺産にはほかに、貴重な生態系などの自然遺産と、文化と自然の要素を併せ持つ複合遺産がある。登録の可否は世界遺産委員会が決める。への登録を目指す「佐渡島(さど)の金山「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」の二つの鉱山遺跡で構成。17世紀には世界最大級の金の産出量を誇った。金の採取から精錬までを手工業で行っていた時代の遺構が残っているのは、世界的に例が少ないとされる。」(新潟県佐渡市)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)1965年に設立した国際非政府間組織(NGO)。文化財の保存、修復、再生などを行う。ICOMOS(イコモス)は「International Council on Monuments and Sites」の略語。ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関として、文化遺産に関する推薦資産の現地調査を担う。その内容を踏まえ、世界遺産委員会に対して評価結果を勧告する。本拠地はパリ。が「情報照会」と勧告ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関イコモスによる推薦資産の評価結果。「記載」(世界遺産一覧表に記載するもの)、「情報照会」(追加情報の提出を求めた上で次回以降に再審議するもの)、「記載延期」(より綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要なもの)、「不記載」(記載にふさわしくないもの)の4区分。した。文化庁は推薦書で主張してきた、江戸期の手工業による金採掘の価値が認められたと説明するが、長年「登録」を悲願としてきた関係者らは困惑した。最終結果が出るのは7月の世界遺産委員会。国、新潟県、佐渡市は資産範囲の設定や保全などの勧告された課題に向き合っていく。情報照会の波紋を追った。(2回続きの1)
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「登録じゃないの?」。勧告が伝えられた6月6日夜、国内の世界遺産の勧告ではこれまで出たことがない「情報照会」に戸惑う関係者が相次いだ。
「佐渡島の金山」は相川鶴子(つるし)金銀山と西三川砂金山の二つの鉱山で構成。16世紀末から19世紀半ばにかけて、金の採掘から製錬、小判の製造までの様子を示す遺構が保存されている。
推薦書は現時点では非公表だが、佐渡島で行われていた手工業での金の生産が、ヨーロッパの影響下にある地域とは違う発展を遂げたと説明したとみられる。新潟県は2010年に学術委員会を発足させ、推薦書を練り上げてきた。イコモスの勧告でもその価値を認めており、推薦書作成に携わってきた稲葉信子・筑波大名誉教授は「世界遺産としての価値が100%認められた」と評価した。
関係者を驚かせたのは、...