花角英世知事(右)と面談する村瀬佳史・資源エネルギー庁長官=3月21日、新潟県庁
花角英世知事(右)と面談する村瀬佳史・資源エネルギー庁長官=3月21日、新潟県庁

 新潟県の花角英世知事が就任してから6月10日で6年が経過する。「佐渡島(さど)の金山「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」の二つの鉱山遺跡で構成。17世紀には世界最大級の金の産出量を誇った。金の採取から精錬までを手工業で行っていた時代の遺構が残っているのは、世界的に例が少ないとされる。」の世界文化遺産1975年に発効した世界遺産条約に基づき、歴史的建造物や遺跡を対象にユネスコが人類共通の財産として登録する。国内では姫路城などが登録されている。世界遺産にはほかに、貴重な生態系などの自然遺産と、文化と自然の要素を併せ持つ複合遺産がある。登録の可否は世界遺産委員会が決める。登録を巡っては、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が推薦書の不備を指摘し、政府が推薦書を再提出する事態となった。東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。再稼働東京電力福島第1原発事故を踏まえ、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。問題では、2024年元日の能登半島地震を受け新たな課題も生じている。花角県政のこれまでを振り返る。

◆「三つの検証」巡る対立、避難道路整備の“追加要望”…柏崎刈羽原発の再稼働、県民へいつ「信を問う」?

 花角英世知事は東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を判断した上で「県民に信を問う」としている。この間、東電福島第1原発事故を巡る新潟県独自の「三つの検証避難委員会、健康・生活委員会(健康分科会、生活分科会)と新潟県技術委員会が担った。技術委員会は福島第1原発事故前から設置されている。福島事故後に三つの検証の一つとして、福島第1原発事故原因の検証も求められていた。」の総括報告書など、花角知事が判断材料に挙げてきたもののいくつかが出てきた。

 「三つの検証」の総括報告書は、取りまとめを行う検証総括委員会の委員長と県が議題などを巡って対立。最終的に県が2023年9月に公表した。また、柏崎刈羽原発の立地に伴う県全体への経済波及効果の調査結果についても、県が2024年4月末に発表した。

柏崎刈羽原発

 テロ対策の不備柏崎刈羽原発では、2021年2月時点で、侵入検知設備が計16カ所で故障し、うち10カ所は代替措置が不十分なため無断立ち入りができる状態だったことが判明した。原子力規制委員会は安全重要度を最悪レベルの「赤」と評価し、21年4月に柏崎刈羽原発での核燃料の移動を禁じる事実上の運転禁止命令を出した。20年9月には、運転員が同僚のIDカードで中央制御室に入る問題なども起きている。が相次ぎ、...

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