
今回は「熱中症」についての診方(診察の視点)です。
熱中症には、炎天下の屋外で数時間の運動や労働で発症する「労作性熱中症」と、高齢者が屋内で数日かけて悪化する「非労作性熱中症」があります。
前者は元々健康な人に起きるため予後はよく、後者は既往歴がある高齢者に起きやすく予後は悪いのが一般的です。
高齢者は、体内水分量が少なく汗をかきにくいことに加え、エアコンを使いたがらず、持病がある人が多いです。乳幼児は地面から近く、発汗機能が不十分な上、自分から暑さから逃げられず、水分摂取も不可能です。
高血圧や糖尿病、精神疾患、脳卒中後遺症、認知症といった既往歴がある人は、内服薬の影響やその病態から熱中症...
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