馬場晃弘医師

 今回は診方・味方についてです。

 漢方医学は中国から伝来した医学のことをいいますが、その歴史は古く、仏教伝来前後に中国伝統医学がもたらされたことに始まります。以降、大陸との交流を行いつつ日本独自の発展を遂げてきました。「漢方」ということばは、江戸時代にオランダを介して伝わった西洋医学「蘭方」と区別したことに始まります。

 漢方医学はこのように歴史が古く、血液検査も画像検査もない時代から患者を診続けてきました。そのため、患者の身体症状・病歴などをしっかりと診て把握し、漢方薬で治療を行ってきました。治療の対象となったのは「風邪」などの熱性疾患や「腹痛」「動悸(どうき)」「冷え」「凝り」などの自覚症状...

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