「登録延期」勧告を受けながらも、その年の世界遺産委員会で登録された石見銀山=島根県
「登録延期」勧告を受けながらも、その年の世界遺産委員会で登録された石見銀山=島根県

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が、インド・ニューデリーで始まった。日本政府が登録を目指す新潟県の「佐渡島(さど)の金山「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」の二つの鉱山遺跡で構成。17世紀には世界最大級の金の産出量を誇った。金の採取から精錬までを手工業で行っていた時代の遺構が残っているのは、世界的に例が少ないとされる。」は新規案件として7月27日に審議される見通しだ。これに先立つ6月、諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)1965年に設立した国際非政府間組織(NGO)。文化財の保存、修復、再生などを行う。ICOMOS(イコモス)は「International Council on Monuments and Sites」の略語。ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関として、文化遺産に関する推薦資産の現地調査を担う。その内容を踏まえ、世界遺産委員会に対して評価結果を勧告する。勧告は「記載」(世界遺産一覧表に記載するもの)、「情報照会」(追加情報の提出を求めた上で次回以降に再審議するもの)、「記載延期」(より綿密な調査や推薦書の本質的な改定が必要なもの)、「不記載」(記載にふさわしくないもの)の4区分。本拠地はパリ。は金山について「登録」ではなく、その次の評価となる「情報照会」を勧告国連教育科学文化機関(ユネスコ)の委員会が世界遺産登録の可否を判断するに当たり、諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)が現地調査などを経て学術的な観点から行う。上から(1)「登録」(2)追加の情報提供を求める「情報照会」(3)問題があり難しいとする「登録延期」(4)ふさわしくないとする「不登録」-がある。国内で登録済みの世界文化遺産は20件。した。国内では初めてのケースだが、過去にはさらに低い勧告を受けた後、世界文化遺産に登録された例もある。勧告が「登録」以外だった国内のケースをまとめた。

 国内で初めて世界文化遺産1975年に発効した世界遺産条約に基づき、歴史的建造物や遺跡を対象にユネスコが人類共通の財産として登録する。国内では姫路城などが登録されている。世界遺産にはほかに、貴重な生態系などの自然遺産と、文化と自然の要素を併せ持つ複合遺産がある。登録の可否は世界遺産委員会が決める。が登録されたのは19...

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