
1980年代の商店街や、駄菓子屋、東京都内の電車内の風景…。昭和から平成初期にタイムスリップしたかのような個性的なコンビニが、新潟市にあります。中央区大島の「デイリーヤマザキ新潟大島店」です。オープンした2005年当初は「無味無臭」の普通のコンビニでしたが、この20年で店内の至るところに段ボール製の模型やおもちゃが設置されるなど、魔改造がほどこされました。なにが背景にあるのか、デイリーヤマザキ本社の許可を得ているのか…。真相に迫りました。

◆脳の情報処理能力が追いつかない…
取材でこの店を訪れたのは、8月上旬の午後5時過ぎ。カラフルなのぼり旗が立ち並ぶ外観を見ただけで、隠しきれない個性が垣間見えます。恐る恐る店内に入ると作業服姿の人や、高校生、子育て中の女性まで幅広いお客さんでにぎわっていました。
店内は、想像以上の「ヤバさ」でした。約130平方メートルの広さの店は、売り場ごとにお菓子、菓子パン、日用品などとコンセプトが違います。

おにぎりや弁当・惣菜コーナーは「おおじま商店街」。店名を書いたつり看板が並び、オーナーの坂口正之さん(52)の故郷・佐和田町(現佐渡市)の商店街がモデルです。山崎製パンの菓子パンが並ぶ一角は、地方にある「Yショップ」をイメージしているそうです。このほか、段ボールで手作りした懐かしいレトルトカレーやカップラーメンの自動販売機が各所に飾られ、脳の情報処理能力が追いつきません。

店を利用するお客さんは、この状況をどう思っているのでしょうか。
新潟市西区の大学3年男性は「もっと飾りが増えればいいですね」と笑顔。一緒に訪れていた父親の会社員男性(46)は「昔からこんな感じですよね。ぼくは好きです」と、さも普通のことかのように淡々と話してくれました。
若いスタッフの思いも聞きました。高校1年の女性スタッフ(16)は一言、「好きです(笑)」。23歳の女性スタッフは「どこにもないデザインなので、新鮮でいいです」と評価していました。

このやりとりを聞いていた坂口さんはニヤリ。「燕市のレトロ自販機で知られる公楽園さんや、長岡市の手描き看板が有名な松田ペットさんとファン層がかぶっているようです」と教えてくれました。新潟県内にある個性的なお店とシンクロするところがあるんですね。
◆笑顔が見たかったから、暇だったから「魔改造」
坂口さんはなぜ、店舗の魔改造に取り組んでいるのでしょうか。
坂口さんは...