福井直樹医師

 今回は「気分障害」についての診方(診察の視点)です。

 気分障害は「抑うつ症群」と「双極症及び関連症群」の二つに分かれます。「抑うつ症群」で代表的なのは「うつ病」です。うつ病は、気分の落ち込み、興味・喜びの減退、食欲・体重変化、睡眠の変化、会話や動作がゆっくりになる、焦り、疲労感・気力の低下、自分を責める気持ち、思考力・集中力の低下、死についての考えなどを評価して診断します。

 「気分の落ち込みはありませんか?」と聞いただけでは、患者さんはピンとこないことがあります。「何も問題なく活動できていた時の気分を思い浮かべて、今の気分と比較してみてください。今は『すっきり晴れない』『もの悲しい』といった...

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