国際社会から極めて強い非難が出ている中で、残虐行為が次々と明らかになっている。戦争犯罪をやめさせるために、各国は結束して圧力を強め、一刻も早い停戦につなげなければならない。
ウクライナに侵攻したロシアへの追加経済制裁策として、政府は先進7カ国(G7)と協調し、ロシアからの石炭輸入を禁止することを決めた。これまでエネルギー分野の制裁には慎重だったが、方針転換した。
ロシア最大手銀行の資産凍結やロシアへの新規投資の禁止、在日ロシア大使館に在籍する外交官らの国外追放も明らかにした。
ウクライナ首都キーウ(キエフ)近郊のブチャなどで住民が多数殺害されたのを踏まえた判断だという。ロシアが非道な攻撃を続けている以上、追加制裁は当然だ。
ロシアの石炭輸出量は世界の15%程度を占め、第3位の供給国だ。日本のロシア産石炭の輸入額は年2800億円超に上る。米欧と歩調を合わせて制裁すれば大きな打撃になるとみられる。
岸田文雄首相は「平和秩序を守るための正念場だ」として国民に理解を求め、段階的に輸入を削減するとした。
ただ、石炭火力発電は国内の電源割合の3割を占め、制裁で石炭の供給が不足すれば価格が高騰し、電気料金が上がりかねない。
政府は国民の暮らしや産業にも目配りし、ダメージを最小限に抑える対策を講じてほしい。
ロシアからの石炭輸入は欧米も禁止するが、輸入を止めた分は対ロ圧力に一線を画す中国やインドが買うとの見方も出ている。
G7が中心となって制裁の「抜け道」を見逃さないようにする必要がある。
一方、国連は人権理事会からロシアを追放する決議案を採択した。戦争犯罪を追及されている国が人権擁護を掲げる理事会に入っているのではおかしい。
こうした中で、憂慮するのはロシアが無差別攻撃を一段と強めていることだ。
ウクライナ東部の駅では、避難する列車を待つ多くの住民が弾道ミサイルの攻撃を受け死亡した。ウクライナ側はロシア軍が無差別に殺傷するクラスター(集束)弾を使用したとしている。
さらにロシアのプーチン大統領が、軍事作戦を統括する司令官に、多数の市民が殺害されたシリア内戦で作戦を指揮した人物を任命したと報じられている。
ロシアはキーウ撤退後、ウクライナ東部に攻勢をかけている。1カ月以上砲撃が続くマリウポリでは、犠牲者が2万人以上になる恐れがあるとされ、化学兵器の使用などさらなる無差別攻撃に対する警戒感が強まっている。
これ以上の犠牲を出してはならない。各国はロシアの暴走を抑えるため、結束を強固にしたい。
