対決の色合いは薄く、表面的なやりとりで終わった印象である。多党化した国会にふさわしい論戦の在り方を練り直す必要がある。
高市早苗首相と野党党首による今国会初の党首討論が行われた。高市氏にとっては昨年以来2回目となった。
飲食料品の消費税ゼロの実施時期を問われた首相は、関連法案の国会提出を明言するなどした。
国民民主党の玉木雄一郎代表の提案には呼応する場面が目立った。首相が連立政権の新たなパートナーの有力候補として意識しているためだろう。
一方、注目された2026年度補正予算案の編成や中東情勢への対応について、議論が深まることはなかった。
安全保障や憲法9条を巡る考えを厳しく問いただす場面もなかった。野党が追及の気迫を欠いていたと指摘せざるを得ない。
各党首がそれぞれ言い分を述べただけと言っていい。消化不良の感は否めない。
党首討論は、昨年4月の与野党の申し合わせで、当初予算成立後の4~6月の各月に開く取り決めになっていた。
今国会では、首相の日程確保の難しさを理由に、4月の開催が見送られた。野党からは「理屈を付けて応じようとしない」などと首相への批判が出ていた。
討論を避けているのであれば情けない。議論を尽くすことが国会の責務である。
党首討論の在り方を見直さなければならない。合計時間が45分では短すぎる。
参加には「衆参のいずれかで10人以上の会派」といった条件があり、今回は国民民主、中道改革連合、立憲民主、参政、公明、チームみらいの野党6党が首相との論戦に臨んだ。6人は18年6月の5人を上回り最多である。
各党首の持ち時間は、衆参会派勢力の合計順で決まり、最も長い国民民主で12分、最も短いみらいは3分しかない。首相の答弁も各会派の持ち時間に含まれる。
こうした細切れの運営では白熱する前に終わってしまう。
現在の党首討論は、英国のような二大政党制を想定している。与野党の対立軸が明確だった導入当初と異なり、政党が細分化した現在の国会にはそぐわない。
野党が政権運営の誤りを正す場である。緊張感のある論戦へ、十分な討論時間の確保を検討するべきである。
開催頻度を増やすような工夫も必要だ。党首討論が本格導入された00年は8回開催されていた。
中道を結成した立民、公明が今回、中道とは別に討論に立つ姿は分かりにくかった。野党側も討論の改革へ汗をかくべきだ。
党首討論は国会審議の活性化を目的に始まったものだ。原点を見つめ直してもらいたい。
