16歳の高校生4人が残忍な犯罪に手を染めたことに、あぜんとする。社会に大きな衝撃を与えた凶悪な事件を、なぜ起こしたのか、全容解明が急がれる。
匿名・流動型犯罪グループ(匿流)の関与が疑われている。一向になくならないこの種の犯罪を撲滅するために、全国の警察は全力を挙げねばならない。
栃木県内の住宅で女性が殺害された事件で、栃木県警は神奈川県の少年4人を、強盗殺人容疑で逮捕した。少年たちは、女性の長男と次男も負傷させた。
少年の1人は「同学年の仲間に誘われた」と供述している。4人のうち2人は同じ高校に通う。
被害者との面識はないとみられ、少年らが交流サイト(SNS)で闇バイトに応じた可能性がある。なぜ安易に応じてしまったのか残念でならない。
闇バイトは、高額報酬をうたいSNSなどで実行役を募るのが特徴だ。実行役の多くが捕まり、「捨て駒」として使われるこれまでの実態を、少年たちは知らなかったのだろうか。
県警は少年らの指示役とみられる横浜市の夫婦を逮捕した。捜査本部は匿流による犯行とみて捜査している。
匿流は、フィリピンを拠点にした「ルフィ」を名乗る指示役による広域強盗で注目された。2024年8~11月には、1都3県で連続強盗事件も起きた。
問題は、こうした事件を受け、警察が対策を強めているにもかかわらず、匿流による犯行が後を絶たないことだ。
警察庁は架空の身分証で闇バイトに応じ、犯人と接触する「仮装身分捜査」を昨年導入したほか、警視庁は「匿流対策本部」を設け、全国から集めた捜査員による専従チームを結成した。
栃木の強盗殺人事件の現場付近では4月以降、不審者や他県ナンバーの車、オートバイの目撃情報が相次いだため、県警がパトロールを重ねていた。不備はなかったのか検証が必要だ。
警察庁は各都道府県警に、下見活動など強盗や侵入盗の計画に関する情報を得た場合は、警戒と情報共有を徹底する通達を出した。
通達は当然だが、今回の事件では対策本部や関係する県警と情報を共有できていたのかも、しっかりと検証してもらいたい。
犯行の若年化も懸念される。匿流によるとみられる資金獲得犯罪の摘発者は昨年、20歳未満が1322人に上り、うち強盗は116人だった。
学校など教育現場での啓発も欠かせない。
生成人工知能(AI)の悪用も新たな治安の脅威になっている。
悲惨な事件が二度と起きない社会になるよう、匿流対策の一層の強化を、政府を挙げて検討しなければならない。
