家計の負担を和らげるためとはいえ、従来の対策を続けることが妥当かどうか。場当たりではなく、事態の長期化を見据えて対応することが必要だ。

 高市早苗首相は、中東情勢の混乱長期化を受け、2026年度補正予算案の編成を含む対応を検討するよう財務相らに指示した。

 原油高の打撃に的を絞り、家計を支援する。与党には夏の電気・ガス代が昨夏より安くなる支援策を講じるよう要請し、ガソリン価格を抑える補助も継続する。

 過去最大規模となった26年度当初予算で確保した1兆円の予備費を、補正予算で積み増す可能性がある。政府は現時点で大型の予算を組む必要はないとの考えで、規模は数兆円になるとみられる。

 自然災害などを想定し、支援策で予備費を使い切るわけにはいかないためだ。ガソリン価格引き下げの財源である基金も早ければ6月に枯渇する見込みだという。

 例年、秋以降に作成される補正予算を前倒しすることは異例だ。

 持論が補正予算に批判的で、編成に慎重だった首相が、姿勢を転換したのは、原油高に対する国民への支援が後手に回ったという批判を避けたい思いからだろう。

 生活に不可欠な電気・ガスへの負担軽減策が必要なことは理解する。ただ、いつまでも同じ対策を続けることには疑問がある。

 電気・ガス代を巡っては、政府はロシアのウクライナ侵攻以降、夏と冬に支援を繰り返してきた。

 昨夏は25年度予算の予備費から2881億円を充て、一般家庭で月千円程度の負担軽減を図った。直近では1~3月にも25年度補正予算から5296億円を投じ、7千円相当を支援している。

 米国とイランの戦闘は終結したとしても、原油供給の正常化には時間がかかると見られている。

 今後を見据えれば、真に支援が必要な低所得者に対象を絞ることなども考える時にあるだろう。

 補正予算の財源を、借金である国債を追加発行して賄う見通しであることも見逃せない。

 首相が予算案編成を表明した翌19日、長期金利の指標である新発10年債の終値利回りは2・800%となり、日本相互証券の記録が残る中で過去最高を更新した。

 財政悪化の懸念が膨らめば国債がさらに売られかねない。政府は財政規律への配慮が求められる。

 首相が、石油需要の抑制に慎重で、目の前の経済活動にマイナスとなる節約の呼びかけに、一貫して否定的なことも気がかりだ。

 共同通信が行った直近の電話世論調査では、原油の供給不足を受けて、政府が資源の節約や省エネ強化を「呼びかけるべきだ」とする回答が7割を占めている。

 国民に対して緩やかな節約を呼びかけることは、供給不足と脱炭素化の双方に資するはずだ。首相には柔軟な対応を望みたい。