東アジアをはじめ、国際情勢は不安定化している。エネルギーなど共通の課題で連携を強め、両国の国益を確保したい。

 高市早苗首相が韓国の李在明(イジェミョン)大統領と李氏の故郷である安東で会談した。緊迫する中東情勢を踏まえ、原油や石油製品、液化天然ガス(LNG)の相互融通を含む日韓のエネルギー安全保障の強化で一致した。

 首相は共同記者発表で「世界全体が不安定化する中、日韓首脳が緊密に意思疎通を行うことは大きな意義がある」と強調した。

 李氏は、中東情勢に端を発したサプライチェーン(供給網)の不安定化に対する日韓協力を「さらに拡大する」と述べた。

 首脳会談は1月に日本で行われたばかりだ。わずか4カ月余りで相互訪問が実現した背景には、米国とイスラエルが2月にイランを攻撃し、中東情勢が長期にわたり緊迫化していることがある。

 日本は中東から原油の9割以上、韓国は約7割を輸入しており、ホルムズ海峡の事実上の封鎖によって両国の経済は大きな打撃を受けている。立場の同じ隣国同士が協力する姿勢を示した格好だ。

 日本は既にアジアの原油確保を後押しするため、金融支援の枠組み「パワー・アジア」を打ち出した。この構想に基づき、実効性ある対策を早急に協議するべきだ。

 米イランの和平へ、両国が外交努力を重ねることも重要である。

 北朝鮮の核・ミサイル開発など、両国の利害が一致する分野で協力を惜しむべきではない。日本人拉致問題でも即時解決へ協力することが重要である。

 両国の間には靖国神社参拝や従軍慰安婦、元徴用工といった歴史認識を巡る問題が横たわる。島根県・竹島の領有権や、福島など計8県の水産物の輸入規制も解決のめどが立っていない。

 将来にわたって友好関係を発展させるには、対立する問題を避けるのではなく、粘り強く向き合わねばならない。

 注視していくべきは両国の同盟国である米国と、中国の動向だ。

 米国がイランとの戦闘長期化に伴い東アジアへの関心を低下させれば、台湾を含む地域の安保環境が激変する恐れは否定できない。

 トランプ米大統領が11月の中間選挙への悪影響を恐れ、中国に対し経済を重視した融和路線に傾く可能性もある。

 中国の習近平国家主席はトランプ氏に続き、ロシアのプーチン大統領とも北京で会談し、中ロ関係の強固さを誇って見せた。

 中国には昨年12月以降、欧州の英仏独やスペインの首脳が相次いで訪問した。中国は各国を取り込み、存在感を高める狙いだ。

 大国の思惑に翻弄(ほんろう)されぬようにしたい。そのためにも、重要な隣国である韓国との関係を安定させることは欠かせない。