自民党県議団へのあいさつに訪れた4人の衆院選候補者。新潟県関係の自民衆院議員は2人のみとなった=10月28日、県議会
自民党県議団へのあいさつに訪れた4人の衆院選候補者。新潟県関係の自民衆院議員は2人のみとなった=10月28日、県議会

 10月27日に投開票された衆議院選挙(衆院選)は新潟県内小選挙区で自民党が惨敗し、幕を閉じた。県内選挙区では2009年に自民が全敗、その3年後には旧民主党が全滅。世論の風次第で一方に大勝をもたらす小選挙区制度特有の「振り子現象」が今回再び起き、非公認となった無所属を含む自民が全ての議席を失った。自民候補が全敗したのは新潟県を含め3府県のみで、振れ幅の大きさは際立つ。立憲民主党へと振り子が激しく振れた「激振(げきしん)」の要因は何か。新潟県にもたらすものは。戦いの裏側を探った。(2回続きの1)

 10月27日午後11時過ぎ、新潟市中央区の自民党県連会館は静まりかえった。新潟3区に立候補した自民前職で財務副大臣の斎藤洋明氏が立憲民主党元職の黒岩宇洋氏に及ばず、県内小選挙区での全敗が確実になった。

 新潟県内全ての小選挙区で自民が議席を失うのは、旧民主党に政権交代した2009年以来15年ぶり。「やっぱりか…」。県連には開票前から大苦戦との情報が届いており、現実を突きつけられた幹部たちの間には冷めた雰囲気も漂った。

◆「裏金」で逆風、劣勢で重点選挙区にも選ばれず

 自民派閥の裏金事件を受けた党へのアレルギーは想像以上だった。3区で接戦だった斎藤氏は事件に関与していない。それでも、陣営関係者は「『自民党』という言葉を出すだけで話を聞いてもらえない」と逆風を肌で感じていた。

 なんとか自民支持層をつなぎ止めようと、県連トップが動いた。選挙戦終盤の10月23日、県連会長の佐藤信秋参院議員は、新潟市中央区の県建設会館で建設会社の幹部ら80人を前に支援を呼びかけた。

 「キャッチフレーズは悪夢の民主党政権に戻さない」。元国土交通事務次官の佐藤氏は、...

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