
医師不足に直面している新潟県津南町下船渡の町立津南病院で2024年度から、若手内科医2人が働いている。それぞれ週3日、津南病院で勤務し、残りの日は東京などで企業や病院の経営コンサルタントとして働くダブルワークをこなす。「医師不足に少しでも貢献したい」と、新たな働き方で地域医療を支えている。
2人の内科医は、岐阜県出身の木村真依さん(27)と、川崎市出身の宮城禎弥(ともや)さん(27)。共に2022年度から2年間、県の講座「イノベーター育成臨床研修コース」の1期生として学んだ。津南病院がダブルワークの医師を採用するのは初めて。
イノベーター育成臨床研修コースは、臨床研修医を全国から集めようと始まった。病院での研修の傍ら経営なども学べ、医療現場の課題解決も実践する。両親が開業医の木村さんと、祖父が会社を経営していた宮城さんは共に、経営に興味があったという。学びを深める中で、医師不足という社会課題に貢献したいと考え、県内の病院の経営改革も手がける経営コンサルタントとかけ持ちで働くことを選んだ。
木村さんは月-水曜、宮城さんは水-金曜に勤務し、2人で常勤医1人分の役割を担う。経営コンサルタントの立場も生かし、病院の経営に関する会議にも参加する。木村さんは「常勤医が少なく忙しいが、多くの患者を診ることができ、やりがいがある。経営コンサルタントで得た知見も生かせている」と語る。宮城さんは「医療現場で働くことで、現場の視点を持ち続けられるのは、コンサルタントとしては大きい」と利点を挙げる。
林裕作院長(57)は「2人が来たことで病院が活気づいた。町民も新たな若手医師が入ったことを歓迎してくれている」と実感する。
宮城さんは「2拠点生活は困難だが、津南病院の医療改革を見届けたいし、新潟県の医療に関わっていきたい」と意欲を語る。木村さんは「新たな医師が代わる代わるやって来るモデルをつくるなど貢献できる道筋を考えたい」と将来を見据えた。
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