新潟市も初雪が降り、ホームセンターの灯油売り場が急に慌ただしくなった。冬本番も目前である。季節性インフルエンザは本県をはじめ、全国で流行入りしている

▼全国の流行入りは、例年より1カ月も早いという。なぜだろう。新型ウイルス感染症が猛威を振るっていた2020年と21年は、インフルエンザの流行はなかった

▼新型ウイルスが23年5月に「5類」に移行し、行動制限はほぼなくなった。街中のマスク姿も急に減った。思えば帰宅後のうがいもやめてしまっていた。新型ウイルスもインフルエンザも、ウイルス性の風邪の一種だ。3密回避や換気、手洗い、黙食…。感染予防が国民運動のようになっていたのに、いつしか脇が甘くなっていた。インフルエンザの流行が早まった一因だろう

▼一方、新型ウイルスは5類移行後の1年間で高齢者を中心に3万2000人以上が亡くなった。死者数はインフルエンザの約15倍というから、その脅威にたじろぐ。この夏、流行の第11波があり、秋以降も東北や本県の感染者数は全国で上位になっている

▼「節季の風邪は買ってもひけ」ということわざがある。大忙しの節季、歳末の決算期も、風邪をひけば大手を振って休める。怠け者の世渡り術だろうか。だが、繁忙期に適度に体をいたわる大切さを教える養生の知恵ともいえる

▼もっとも、新型ウイルスの風邪を買うとなると命懸けだ。ワクチン接種は伸び悩んでいるそうだが、お年寄りは接種が望ましいという。冬への備えを。

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