帰宅の途次、夕飯時の家々から匂いが漂う。この家は焼き魚か、ここはすき焼きではと想像を巡らせる。カレーライスは当てやすい。独特のスパイシーな香りとしばしば出合う。それだけ家庭に親しまれた国民食なのだろう
▼県民食でもある。国の調査では、新潟市の1世帯当たりのカレールー購入金額はトップクラスだ。理由は明確でないが、共働きの多さが一因とする説もある。ジャガイモなど常備する野菜を使って、比較的簡単に調理できる。その上、広い世代に人気とくれば忙しい家にはありがたい
▼そんな身近な一品も物価高騰の波にさらされている。帝国データバンクが原材料費や調理時の水道光熱費を基に試算する「カレーライス物価」が鮮明に示す
▼2025年11月時点で、ビーフやチキンなど代表的なカレー5種の平均は1食365円と過去最高を更新した。1年で45円も上がり、20年を100とする指数で見ても142・6に達した
▼円安で輸入の豚肉や牛肉が値上がりし、鶏肉には鳥インフルも影響した。農政に翻弄(ほんろう)されるコメは高止まりし、ルーは輸送費などを反映して値上げが繰り返されている。さまざまな問題を抱えた原料を一皿に仕上げれば、コストが上がるのは必然だ
▼物価高対策が最優先ではなかったのか。高市早苗首相がきょう衆院を解散する。国会論戦は先送りされ、国民の生活にかかわる26年度予算の3月末までの成立は困難となる。カレーライス物価は当面、過去最高値圏で推移する見込みという。
