男性だから、女性だからという役割分担は時代の流れの中で少しずつ変わってきている。ただ将棋の世界でいうと、大盤解説会やネット中継では男性が解説役、女性は補佐的な聞き手を務めるケースが多い

▼これには男性が棋士、女性は女流棋士と立場に隔たりのあることが関係している。養成機関の「奨励会」で勝ち抜き、原則として年間4人だけがなれる棋士のほうが実力も格も上と見られる。この関門を抜けた女性は一人もいない

▼将棋は男女の体格差で有利不利が生じるゲームだとは思えず、不思議だった。しかし、ことしはいよいよその壁が突破される年になるかもしれない

▼産休制度のあり方に一石を投じた福間香奈女流六冠が、男性も参加する棋戦で一定の勝率を収め、27日から棋士の資格をかけて若手棋士5人との試験対局に挑む。また西山朋佳女流二冠は、白(はく)玲(れい)という女流タイトルをもう1期獲得すれば、新設された規定で棋士になる権利を得る

▼棋士といえば男性とされる中、2人は女性でも十分に渡り合えることを示してきた。かつて本県を訪れた高段の棋士も女流トップの実力を認めている。チャンスはある

▼将棋の駒の「馬」を左右反転した「左馬」という置物がある。「うま」を逆さまに読む「まう(舞う)」にかけた縁起物だ。女流の2強が午(うま)年のことし、「ガラスの天井」を破れるか。政界では一足早く、女性の首相が誕生している。将棋界の幅を広げるためにも、棋士の夢に向けて舞う1年であってほしい。

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