米国の第2次トランプ政権が発足して1年となった。大統領に会ったことも、取材したこともない。新潟の地から訳知り顔で論じるのも気が引けるが、その自国第一の横暴にあきれる。世界の空気は伝播(でんぱ)する。日常が変容していきかねない
▼もう驚くことにも慣れた。今度はグリーンランド領有をごり押ししようと、軍事行動をちらつかせ、反発する欧州各国を関税上乗せで屈服させたいらしい。露骨な損得勘定で、国際的な秩序や協調、倫理も規範も吹き飛ばす
▼「力による正義」を振りかざせるのは、民主主義をけん引した大国の遺産と根強い支持者の存在、そして大統領としての強大な権限があればこそ。これほど異能な権限行使者の登場を、制度は想定していなかっただろう
▼大統領制ではない日本では国会における数の力が国を動かす強固な力になり得る。かつての安倍1強体制がそうだった。高市早苗首相が衆院を解散するのは、そんな力を志向してのことだったようだ
▼解散表明会見で「重要政策は安定した政治基盤と国民の明確な信任がないと実現できない」と言い切った。積極財政の推進や安保政策の抜本強化が念頭にある。高い支持率を背景に、国会での合意形成より手っ取り早いと考えた節がある
▼批判にひるまず、厳冬期の選挙に突き進む。政治家としての志に突き動かされたのだろうが、視線の先に何があるか。国民生活よりも自らが理想とする国家像が大きく膨らんでいるようなことは、よもやないと信じたいが。
