現代将棋は人工知能(AI)の出現により、劇的に変わった。AIを研究に用い、その先頭を走る藤井聡太七冠=竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖=は、過去の常識を覆すような斬新な指し手を次々と披露し、プロ棋界に大きな影響を与えた。一方、多くの棋士が若き王者に対抗するため、日々研さんを積む。

◆2020年棋聖戦で見せた「衝撃の3一銀」…終盤力は「神の領域」

 藤井聡太七冠(22)はプロデビュー以来、最年少記録を次々と塗り替えていった。対局中、膨大な量を短時間で読む。しかも指し手が的確となり、勝利を呼び込んでいく。さらに不利な状況をひっくり返す終盤戦の巧みさもある。将棋界の頂点に立つ若き王者がもたらしたものは何か。

 その強さは少年時代に没頭した、王手の連続で玉を追...

残り1851文字(全文:2151文字)