雪の中、最終節浦和戦に向けてフィジカルトレーニングに励む新潟の選手=12月7日、聖籠町
雪の中、最終節浦和戦に向けてフィジカルトレーニングに励む新潟の選手=12月7日、聖籠町

 J1復帰2年目のアルビレックス新潟は、最終節でJ1残留を確定させた。今季、YBCルヴァン・カップでクラブ初の準優勝を果たした一方で、リーグ戦ではまさに薄氷の残留劇を演じた。「ボールを保持する」新潟のサッカースタイルはなぜ、苦しんだのか。今季の戦いを振り返り、来季に向けた課題を探る。(5回続きの3)

 3月下旬、開幕4試合を終えたばかりのアルビレックス新潟に、衝撃が走った。副主将のDF新井直人の広島移籍が発表された。

 新井は左右のサイドバック(SB)をこなせる選手。松橋力蔵監督は12月9日の総括会見で「十分やれる選手がいると思っていた」と影響を否定したが、前半戦は同じSBのDF堀米悠斗やDF森璃太が負傷したこともあり、選手起用に苦しんだ面は否めない。

 前半戦は、肉離れなど筋肉系のけがが相次いだ。安野努フィジカルコーチは、けがを防げなかった一因として、トレーニング不足を挙げる。1〜2月のキャンプに続き、3月にフィジカル面を強化していく予定だったが、悪天候が続き、練習の強度を上げることができなかった。

▽優勝できる「運動量」とは…

 横浜Mなど他のJ1クラブの指導経験がある安野コーチによると、新潟のフィジカルトレーニングの強度は毎年段階的に引き上げているが、まだ他のクラブよりも低いという。

 今季のJ1は、優勝した神戸や3位町田といった攻守の切り替えが速く、手数を少なくゴールを目指す「強度型」のサッカーが...

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