
約40年にわたって新潟県柏崎市の演劇界を盛り上げてきた劇団THE風・FOU(ざ・ふう)が、2月8、9日に柏崎市駅前2の市産業文化会館で行われる「柏崎演劇フェスティバル」の出演を最後に解散する。メンバーの高齢化や減少で、公演数が減っていたことから解散を決めた。「会場に足を運び、激励してもらった感謝を芝居で届けたい」と最後のステージの準備を進めている。
「東京へ行きませんか。みんなで」「どうにかなりますよ」。1月中旬に産業文化会館で熱の入った仕上げの稽古が行われていた。物語終盤の重要な場面を繰り返し演じ、座長で演出の猪俣哲夫さん(66)が「ジェスチャーをはっきり」「もっとあざとくセリフを」などと注文した。
THE風・FOUは、1986年に猪俣さんを中心に結成された。名前には「柏崎に演劇の新風を起こそう」との思いを込めた。
現在は役者4人、スタッフ4人の計8人の小所帯だ。それでもジャンルにとらわれず、嫉妬や嫌悪といった感情を描いたり、笑いを届けたりするドラマを演じ続けてきた。
だが、団員の高齢化や役者の減少などで2013年以降、公演は年1回の柏崎演劇フェスへの出演だけにとどまっていた。そのため昨年6月に解散を決めた。猪俣さんは「役者が少ないと上演できる演劇が限られてマンネリ化する。次の演劇フェスティバルで一区切りつけようと決まった」と話す。
設立メンバーの1人、池田晴美さん(60)は「もうTHE風・FOUで演劇ができないと思うと、心に穴が開いた感覚だ」と話す。
柏崎演劇フェスティバルは市産業文化会館の主催。THE風・FOUは、初回の1995年から演劇フェスに参加している。
最終公演の演目「箱の中の4人」は田舎のレストランが舞台で、刑務所から出所する総支配人の男を待つ女4人の話だ。役者が女性4人ということもあり、この台本を選んだ。同劇団でこれまで上演したことはなく、設立時の思いに立ち返り、最後の舞台で新作に取り組む。
猪俣さんは「男を慕う4人の関係性に注目してほしい。男から逃げられない『マインドコントロール』が描かれる」と語る。
演劇フェスに向けて2024年9月に台本を配り、...