万代タクシーが全車両に掲示したカスハラ防止の啓発広告
万代タクシーが全車両に掲示したカスハラ防止の啓発広告

 顧客が優越的な立場を利用して従業員に理不尽な要求をする「カスタマーハラスメント」(カスハラ)が、全国的に社会問題となっている。中でも小売りやサービス、金融機関など接客業務での被害が多く、対策を打ち出し、表記することで発生抑制を目指す動きが広がる。新潟県内でもカスハラによる離職防止や安心して働ける環境を整えるため、対策や方針を出す企業が相次いでいる。

 万代タクシー(新潟市中央区)は1月中旬、国の認可を受け、運送約款にカスハラ対策条項を追記した。自社のホームページや交流サイト(SNS)で周知を図っているほか、全車両に啓発広告を掲示し、乗客への理解と協力を促している。

 被害で多いのは、暴言や高速走行の強要、無理な運賃要求など。女性乗務員に対しては「マスクを取るまで降りない」といった理不尽な要求や「夜間業務をするなんて訳ありか」といった発言もあるという。

 2024年秋には、防犯カメラが作動中であることを表示する電光掲示板を女性乗務員の車両に設置する対策も講じた。木下幸治業務課長は「取り組みが抑止力となり、乗務員の安全・安心につながることを期待する」と話す。

 帝国データバンク新潟支店が24年に行った調査では、県内企業の12・3%が直近1年以内に被害に遭ったと回答した。業種別では小売りが30・0%、サービスが20・0%、卸売りが13・0%、金融が12・5%などだった。

▽金融機関で進む方針策定

 県内の金融機関でも、...

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