ナマコの種苗を放流する参加者=佐渡市岩首
ナマコの種苗を放流する参加者=佐渡市岩首
放流されたものと同じサイズのナマコ=佐渡市岩首

 ナマコ種苗を生産する「浦島三和」(新潟県佐渡市豊田)は、岩首地区の豊岡漁港で約1・2トンに当たる10万匹の種苗を放流した。地元漁業者と協力し、港湾内で育て、水揚げ、販売まで一環して行う初の取り組み。島の漁業がブリやカキ、海藻類の不漁に苦しむ中、ナマコの安定した水揚げを図り、挽回を期すつもりだ。

 放流は2月27日に行い、地元住民ら約30人が参加。浦島三和が約2年育てた5〜10センチのマナマコの種苗を次々と放流した。

 浦島三和はこれまでも放流を重ねてきたが、3センチ以下と小ぶりで食害に遭うなど生存率は3割ほどと低かった。今回は成長した種苗を放流し、ナマコのすみかとなるカキ殻やシェルターを沈め、8割ほどの生存を見込んでいる。

 ダイバーが定期的に成長具合を確認しながら、約1年半後、25〜30センチほどに育ったナマコを水揚げする予定。岩首を皮切りに、島全体の取り組みにつなげ、漁業の活性化を図る考えだ。

 ナマコは2〜4月が収穫期。「海の黒いダイヤ」とも呼ばれる高級食材で、医薬品としての需要も秘める。中国に大半が輸出されていたが、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に伴って、停止された。2024年9月、日中両政府は日本産水産物の輸入再開に合意したものの、いまだ取引のめどは立っていない。

 佐渡ナマコ研究会の...

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