アニメ「烈火」の制作でタッグを組んだ小中和哉さん(左)と板野一郎さん=新潟市中央区の新潟日報メディアシップ

 新潟県十日町市に本社を置くアニメーション制作会社「紺吉(こんよし)」(瀧澤大祐代表取締役)が、十日町市の誇る国宝「火焰(かえん)型土器」がスーパーロボットとなって戦う長編アニメーション「烈火」の制作に取り組んでいます。紺吉の映像創作顧問は、「超時空要塞マクロス」などで知られる日本を代表するアニメーターの板野一郎さん。「ウルトラマンダイナ」など平成ウルトラマンシリーズを手がけた映画監督の小中和哉さんが総監督を務め、2028年の公開を目指し現在、制作が続いています。アニメ・特撮のレジェンドがタッグを組み、新潟を舞台にどんな作品を生み出すのか、「新潟国際アニメーション映画祭」に合わせて新潟市を訪れた板野さんと小中さんに直接お聞きしました!

 いたの・いちろう 1959年生まれ、「機動戦⼠ガンダム」「伝説巨神イデオン」で原画、「超時空要塞マクロス」ではメカ作画監督を担当した。無数のミサイルや戦闘機が入り乱れて空中戦を展開する作画は「板野サーカス」と呼ばれ、国内外のアニメ・特撮作品に多大な影響を与えた。
 こなか・かずや 1963年生まれ、映画「四月怪談」「ULTRAMAN」などのほか、「ウルトラマンダイナ」など平成ウルトラマンシリーズを手がけた。紺吉が2023年に制作したCGアニメーション映画「劇場版シルバニアファミリー フレアからのおくりもの」で監督を務めた。
「烈火」の説明をする紺吉の瀧澤大祐代表取締役=十日町市

――主人公ロボのビジュアルが公開されました。以前に公開されたデザインとだいぶ変わったような?

【板野さん】現代風と昭和的。今回発表したのはエヴァ風。エヴァ世代を意識しました。細身で。以前公開した烈火はあえて昭和のロボットアニメ的にしたんです。マジンガー的な。日本のアニメが世界に羽ばたいたきっかけはやっぱりスーパーロボットなんですよ!

板野一郎氏作成の「烈火」ラフデザイン(紺吉提供)
板野一郎氏作成の「烈火」ラフデザイン(紺吉提供)

 北米は「マジンガーZ」、フランスとかは「グレンダイザー」、アジアだと「ボルテスV」とかが人気で、海外の人たちが子どものころに夢中で見たアニメを大人になって調べたら日本のアニメだったと、「ジャパニメーションすごい!」って感動してくれる。だから「新潟国際アニメーション映画祭」にはフランスからも記者が取材に来ているんですよ。

――2種類のデザインのうち、どちらが採用されるんですか?

【板野さん】どっちも登場します。縄文時代パートの「烈火」は昭和風、現在の「烈火」はエヴァ風。時代によって異なる烈火が活躍します。

――もしかして合体します?

【板野さん】合体というか、変形します。土器に。烈火は火焰型土器、敵も土器に変形します。

――烈火の最終形態も登場しますか?

【板野さん】それは見てのお楽しみということで!

◆新潟発スーパーロボットアニメの意義

アニメ界の現状などについて語る板野一郎さん

――アニメ界のレジェンドである板野さんが新潟発のスーパーロボットアニメを手がけるは、新潟のアニメファンにとっては夢のような話です。

【板野さん】尖ったアニメーションを新潟から作ろうじゃないかと思っているんです。僕から見て新潟の魅力は...

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