新潟県政は課題が山積する。人口も経済も暮らしも縮小が続く。5月12日告示、29日投開票の新潟県知事選で、候補者はどんな政策を示すのか。新潟の現在地をひもとき、課題を掘り下げる。

 「コメ王国」と称される新潟県は、コメの売上額を示す2020年の「産出額」が1503億円で、42年連続全国1位を誇る。全ての農畜産物を含む「農業産出額」は2526億円。全国12位の農業県だ。

 しかし、売り上げから経費を引いた所得に目を向けると、順位は大きく下がる。国は「実態を示していない」(農林水産省経営・構造統計課)などとして、現在は1戸当たりの生産農業所得を公表していないが、新潟日報社の試算では、本県全体の生産農業所得を販売農家数で割った金額は226万円。農業産出額を販売農家数で割ると605万円で、ともに28位に落ちる。

 理由の一つに、コメへの強い依存が挙げられる。同じ面積で生産した場合、コメよりも園芸作物(野菜、果樹、花き)や畜産物の方が売上額が多い。畜産が盛んな宮崎県、リンゴの収穫量が多い青森県などが上位を占めている。

 県は手をこまねいている訳ではない。19年7月に園芸振興基本戦略を策定し、「もうかる農業」「所得が向上」と農家の背中を押す。

 しかし農家1戸、または農業者1人当たりの所得は「調査に労力が必要」(県農産園芸課)などを理由に他県同様算出していない。今後も予定はないという。

 新潟大の伊藤忠雄名誉教授(78)=農業経営学=は「算出に手間がかかるのは理解できるが、農家は園芸によって所得が増えたかを知りたい。増減の要因も示した上で公表すべきではないか」と話した。

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