企業数の99%超を中小企業が占める新潟県。このうち従業員5人以下の「小規模事業所(製造業などは20人以下)」が9割弱に上り、その数は減少している。人口減少と少子化に歯止めがかからない中で、地域経済を担う零細事業所の多くが、後継者不足にさらされている。

 国税庁によると、本県で2020年度に確定申告をした事業所(申告法人のうち会社などの数)は、3万7764社。11年度の3万9466社から4・3%減り、この10年での増減率は47都道府県で最下位となった。

 この10年は、12年に始まった景気拡大期間とほぼ重なる。39都道府県で事業所数が増加したが、本県はその波に乗れなかった。景気浮揚を実感できない中小零細が多く事業承継も進まない上、地域金融機関が開業への融資に慎重であることも一因とみられる。

 県の最上位計画「県総合計画」の中間評価を行う評価委員会は、県の開業支援を厳しく評価する。開業率は19年度が2・7%で、20年度の中間目標の4・4%と開きがあるとして、起業・創業の推進が「遅れている」とした。

 廃業数が開業数を上回る事例の一つが、後継者不足に悩む商店街だ。地域の暮らしを支えてきた店が一つ、また一つと姿を消している商店街の現状は、小規模事業所の苦境を映し出す。

 東京商工リサーチ新潟支店のまとめでは、20年の県内の法人全体に占める新設法人の割合は2・60%。全国順位は46位だった。

 中小事業所の経営に詳しい長岡大の栗井英大教授(49)は「県経済の活性化に向けて、事業承継策の強化と開業率の上昇が必要だ。開業が多ければ、産業の新陳代謝が活発ともいえる。新サービスの創出など消費者への利益もあるため、開業の増加が望ましい」と指摘する。

(おわり)

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