厚生労働省が3月発表した2021年の賃金構造基本統計調査で、フルタイムで働く人の平均月給(残業代などを含まない所定内給与)を都道府県別に見ると、新潟県は前年比1万2700円増の27万2100円と全国30位だった。

 ここ5年は25万円台から27万円台を行き来し、順位は全国30位台で推移している。

 ただ、東京など都市部との開きは依然として大きく、石川、長野、福井、富山といった北信越各県よりも低い状況が続く。賃金増につなげようと、県は産業の活性化に取り組む。

 防災関連産業の集積に向けた環境づくりを進めるほか、新規性のある技術を生かした製品開発の支援など、高い付加価値を生み出す企業の創出や成長を後押しする。

 平均月給の順位が低いのは地方ばかりだ。全国45位の秋田県は東京、神奈川、大阪など賃金水準の高いエリアへ人口が流入する傾向があるとみる。

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 労働生産性の高い産業の育成に注力するなどして、自県の賃金を地方圏の平均水準まで引き上げる目標を掲げている。

 人口減少が進む中、賃金をいかに上げていくかは地方にとって大きな課題となっている。少子化問題に詳しい新潟大経済科学部の溝口由己教授(55)は「賃金の上昇には経済の好循環を生むことが必要だ」とする。人口減少などで人手不足に悩む県内企業も多い中、働き方改革が鍵になるとの考えだ。

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