米上院議会スタッフ時代の2004年1月に当時自民党幹事長の安倍晋三(右手前から3人目)らと会談するルース(左端)=東京・永田町の自民党本部
 米上院議会スタッフ時代の2004年1月に当時自民党幹事長の安倍晋三(右手前から3人目)らと会談するルース(左端)=東京・永田町の自民党本部
 「ノーイング・ノースコリア」に参加した若者に、自身の訪朝体験を踏まえ、意思疎通によって相手を知ることの重要性を力説するルース=2025年5月、ワシントン(撮影・川尻千晶、共同)
 米国・ワシントン

 朝方の雨が上がり、初夏の蒸し暑さがにわかに漂う5月末の早朝、米首都ワシントン。「権力の館」ホワイトハウスから徒歩10分弱のオフィス街の一室に、20人前後の若者が集まり始めた。

 長方形のテーブル四つに4、5人がそれぞれ着席すると、元連邦議会上級スタッフのキース・ルース(70)が前方で、2日間の特別セミナーの概要を説明し始めた。

 「民間からの支援はあるが、米政府からの資金援助は一切受けていない。それから2日間の内容は全てオフレコである」

 熱いまなざしを送るのは米国の大学院生や若手研究者、非政府組織(NGO)スタッフ。米軍の若手士官も交じり一同、必死に聞き耳を立てる。

 ▽間違った前提

 セミナーの名...

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