日本サッカー史上、比類のない点取り屋の釜本邦茂さんは、アマチュアながら「試合にかける気持ちにプロもアマもない」との自負で、世界にもその名を知られる存在となった。(文中敬称略)

 ▽W杯観戦と留学

 右45度から左隅に突き刺す豪快な右足シュートに磨きをかけたのは、1966年ワールドカップ(W杯)観戦がきっかけ。得点王エウゼビオ(ポルトガル)の強いシュートに目を見張り、技術を盗もうとひたすら練習した。68年1月からは西ドイツ(当時)に2カ月間、単身で留学。パスを受けてシュートに持ち込む速さも会得して「型」を絶対的なものとした。

 ▽銅メダルと得点王

 24歳で迎えた68年メキシコ五輪は、杉山隆一という名...

残り738文字(全文:1038文字)