
ライラが暮らす「ハーフウエーハウス」の部屋。刑務所を連想させるようなものはなく、電子ピアノも置かれていた=2025年6月、オスロ(撮影・川上真、共同)
オスロ中心部を走るトラムの駅から徒歩で5分ほど。ショッピングモールを抜けて公園に出ると、9階建てのマンションが目に入った。1階部分には大きな窓ガラスのあるリビングがあり、ソファやテレビ、ビリヤード台などが置かれている。キッチンには大型の冷蔵庫のほか、ナイフやフライパンといった料理道具が備わっていた。
奥の棟には16の個室がある。その一室でライラ・ミエルドハイム(49)は、ベッドに腰かけながら、かみしめるように語った。「ここは社会との壁がない。だから、不安なく社会に戻っていくことができる」
フロアに一つだけある出入り口のドアの横には、小さい文字で「矯正局」と書かれたプレートが掲げられていた。マ...
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