「難しい題材をいくつも含んでいて、悦子の捉え方は人によって違う。伝えなければならないことは何かを考えて演じました」と話す広瀬すずさん
 「難しい題材をいくつも含んでいて、悦子の捉え方は人によって違う。伝えなければならないことは何かを考えて演じました」と話す広瀬すずさん
 広瀬すずさん
 映画「遠い山なみの光」より
 カンヌ国際映画祭で「遠い山なみの光」が公式上映された後、写真に納まる石川慶監督(左端)、広瀬すずさん(左から4人目)、カズオ・イシグロさん(右端)ら=フランス・カンヌ(共同)
 「遠い山なみの光」で主人公の悦子を演じた広瀬すずさん(左)と吉田羊さん=フランス・カンヌ(共同)
 映画「海街diary」がカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、現地で記者会見に登壇した(左から)綾瀬はるかさん、長沢まさみさん、夏帆さん、広瀬すずさん、是枝裕和監督=2015年、フランス・カンヌ(共同)

 映画「遠い山なみの光」はノーベル賞作家カズオ・イシグロさんの長編デビュー作が原作で、主人公の悦子が戦後復興期の長崎を振り返る形で物語が進む。自由を求める女性、戦前教育の否定といった社会の変容とともに描かれるのは、消えることのない戦争や原爆の傷痕だ。主演の広瀬すずさんは、原爆による心の傷を吐露するシーンへの思い入れを「痛みを思い出していくような感覚で、大切に、丁寧に演じました」と語る。

 5月に開催されたカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門への出品作。広瀬さんは2015年に是枝裕和監督の「海街diary」がコンペティション部門に選出された際も、出演者として世界の映画人が憧れるレッドカーペットを歩い...

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