
手を振るタイのタクシン元首相=8月22日、バンコク(ロイター=共同)
タイのタクシン元首相(76)が強い影響力を持つ与党「タイ貢献党」が5日、下院で首相指名選挙に敗れた。長年、政界の主翼を担ってきたタクシン氏は復権から2年、次女の失職や支持層の離反が重なり、満身創痍で窮地に追い込まれた。既に空路で出国しており、国外逃亡との観測も広がる。タクシン派の敗北を専門家はタイ政治の「転換期」と位置付ける。
▽暗雲
「空港で拘束か」「既に離陸」。首相指名選挙を翌日に控えた4日夜、地元メディアはタクシン氏を巡る速報を連発した。中東・ドバイに向かったとみられることが判明。タクシン氏は8日までの帰国を公言したが、逃亡説は収まらない。
背景には重要裁判の日程がある。タクシン氏は2...
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