衛星軌道における真空と昼夜の温度変化を再現し、衛星や搭載装置の動作を確認する設備の前で説明する高橋幸弘・北海道大教授
 衛星軌道における真空と昼夜の温度変化を再現し、衛星や搭載装置の動作を確認する設備の前で説明する高橋幸弘・北海道大教授
 東北大で講師だった高橋幸弘さん(左)らが開発した超小型衛星「雷神」=2008年5月、仙台市

 東北大講師となった高橋幸弘さんは、高度50~80キロで起きる発光現象「スプライト」の研究に没頭した。2000年代初め、地上や真横からの観測例は数多くあったが、発生メカニズムは謎のまま。解明には雷雲の上からの撮影が必要だった。

 「人工衛星を使うしかない」。先行する他国の研究を追い越すため、低コストで開発期間が短い超小型衛星に着目、07年ごろから50キロ級の衛星開発を始めた。09年には最初の超小型衛星「雷神」を打ち上げたが、通信途絶などの不具合で観測できなかった。「失敗も経験。無駄にはならない」と前を向いた。

 同年、北海道大に教授として移籍した高橋さんは、国際宇宙ステーション(ISS)に取り付け...

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