ミシェル(右奥)とエミリー(右手前)が見守る中、エンゼルを抱き締めるビビアン(左端)。ビビアンは「子どもたちのために、できる限りのサポートをしたい」と語る=2025年7月、ポートランド(撮影・鍋島明子、共同)
 ミシェル(右奥)とエミリー(右手前)が見守る中、エンゼルを抱き締めるビビアン(左端)。ビビアンは「子どもたちのために、できる限りのサポートをしたい」と語る=2025年7月、ポートランド(撮影・鍋島明子、共同)
 「ブリッジ・メドウズ」のシューバートCEO。「引っ越した里親家庭の子どもが、エルダーに会いに戻ってくることもある」と話す=2025年7月、ポートランド(撮影・鍋島明子、共同)
米オレゴン州ポートランド

 深緑がまぶしい夏。澄んだ青空の下、自宅前の中庭に出たミシェル・バーミュデズ(50)の顔に穏やかな笑みが広がった。視線の先にあるのは、里親として育てる幼い子ども2人の姿。白髪のビビアン・ワグナー(80)にゆっくり近寄ると、優しく抱き締められ、はにかんでいた。

 米西部オレゴン州ポートランドの「ブリッジ・メドウズ」。里親家庭とシニア層が一緒に暮らす多世代コミュニティーで、ミシェルは「まるで大きな家族のようなのよ」としみじみ口にする。

 薬物に溺れた娘から引き取った孫娘エミリー(7)と孫息子エンゼル(5)は、学習障害を抱え、情緒に不安定な面がある。入居当初はハグさえうまくできず、相手を押し倒すこともあ...

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