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ウェス・アンダーソン監督の映画はユーモアに満ち、どのシーンを切り取っても絵になる。最新作「ザ・ザ・コルダのフェニキア計画」も、そんな魅力に浸れるファミリーコメディーである。
今作の主人公は、1950年代の「大独立国フェニキア」で、大規模なインフラ整備「フェニキア計画」に生涯を懸ける大富豪のザ・ザ・コルダ(ベニチオ・デル・トロ)。美しい映像の中、そこはかとなく漂うのは、傲慢(ごうまん)な権力者たちの「ディール(取引)」が世界を振り回す現代のリアルな空虚さだ。
ザ・ザは兵器や航空ビジネスで成功した、非情な実業家。だが6回も暗殺未遂に遭い、後継者の育成を決意する。
指名したのは、長らく別居している...
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