
研究室の学生と議論する古気候学者の阿部彩子さん=千葉県柏市
大気や海の温度データなどを使い、地球の気候をコンピューター上に再現する技術は「気候モデル」と呼ばれ、長期的に変化する気象パターンの将来予測などに使われる。東京大大気海洋研究所の阿部彩子教授(62)はモデルを応用し、過去の気候の分析に取り組む。
なぜ記録のない過去の気候が分かるのか。例えば大陸にある氷の塊「氷床」は、場所によっては数十万年もの間雪が解けずに積もり続けており、柱状に掘り出して調べれば当時の気温や大気成分を推定できる。「氷の採取で得た証拠をモデルに取り込み、矛盾しない因果関係を探っていけば、昔の気候も再現できる」と阿部さんは話す。
全地球的に気温が下がる「氷期」がなぜ10万年周期で...
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