農研機構の「ロボティクス人工気象室」で、今世紀末を模した環境で栽培中のイネを示す米丸淳一ラボ長=2025年8月、茨城県つくば市
 農研機構の「ロボティクス人工気象室」で、今世紀末を模した環境で栽培中のイネを示す米丸淳一ラボ長=2025年8月、茨城県つくば市
 でんぷんが十分蓄積されたコメの「整粒」(左)と、蓄積が不十分で白く濁った「白未熟粒」(農研機構提供)
 コメ高温耐性品種の作付面積の推移

 地球温暖化が進み、気温と二酸化炭素(CO2)濃度がともに高くなる今世紀末には、コメの収量が大きく減少し深刻な品質低下も起きる恐れがある―。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)のチームがこうした予測をまとめた。対策の鍵となるのは暑さに強い高温耐性品種の普及だとして導入を促している。

 ▽白濁したコメ

 8月、茨城県つくば市の農研機構「ロボティクス人工気象室」で、暖色の光が稲を照らしていた。温度や湿度、CO2濃度を細かく制御できる。「中は温暖化が進んだ将来の日本です」と、農業情報研究センターの米丸淳一ラボ長が説明する。

 米丸さんがつくり出したのは、積極的な温暖化対策を取らない場合の2100年(...

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